コーポレートステーショナリーからのブランディングデザイン
コーポレート・ステーショナリーとは、名刺や封筒・送付状・紙袋など、紙のツールを中心とした企業独自の事務用品のことを指します。デジタル化が進んだ現代でも「ビジネスは名刺交換から始まる」と言われるくらい紙のツールは重要な役割を果たします。日本での起源は古く名刺は江戸時代(19世紀はじめ)から使われるようになったと言われています。
江戸時代の日本の名刺は、ヨーロッパと同様、訪問先で相手が不在の時に置く“メッセージカード”として、自分の訪問を相手に知らせるのが目的でした。当時は和紙に墨で名前を書いたものでしたが、幕末に西洋の印刷技術が日本に伝わったことをきっかけに手書きから印刷されたものへと変化し、当時は名前の上に家紋を印刷した名刺が多かったようです。
その方法や役割も、江戸から明治にかけての人々の生活や文化、デザインなど、西洋諸国との関りが盛んになり、名刺は日本の社交界で重要なツールとして機能するようになりました。現代のビジネスシーンでは、さらに封筒や送付状などの様々なアイテムが加わり、現代においても企業にとっての最も身近なアプリケーションと言えます。
現代のコーポレート・ステーショナリーでは、ただ単に名刺や封筒としての役割を果たすためだけのものでなく、企業のアイデンティティをしっかり伝えるための重要な役割を担います。本来の実用性に加えて、外部へ向けてのメッセージを発信する大切な機能を伴せ持つことが、とても重要です。私たちは、このような「コーポレート・ステーショナリー」をビジネスに貢献するアプリケーション・デザインの第一歩とし、ありふれたオフィスの事務用品を、優秀なデザイナーの手により、その企業らしさをしっかりと伝えるべく、「デザイン・システムの基本要素となる」ようなアイデンティティを体現するため質の高い設計から、しっかりと行います。その役割は「ブランドとしての情報を知ってもらうこと」や、「次のアクションへのキッカケになること」など「ブランドらしさ」が求められます。
このようにブランドとしての「らしさ」を感じ取れることが大切であり、実際に手に触れないとわからない心地良さや、雰囲気まで伝えるられるよう、デザインの際には「さりげない演出を組み込むことで、相手に伝わる幅もグッと広がり」直接手に触れるものだからこそ、私たちは先人達が歩んできたような「メッセージカード」としての大事な役割を残し、企業の個性や雰囲気を「受け取った相手にしっかりと伝わること」を第一にシステムの設計段階から考えはじめます。
受け手の印象に深く関与する「コーポレート・ステーショナリー」は多くの企業にとって、とても大きな役割を果たしているからこそ、きちんと目的にマッチしたデザイナーをしっかり選び、会社の重要なアプリケーションとしての位置付けが大事になるのです。これだけでも、社内外の意識は大きく変わり、他社よりも多くアピールできる機会は、グッと増えることになるはずです。
私たちは、このような一瞬の接点においてもチャンスと捉えブランドの価値や魅力を伝える力や考えが大手だけでなく、中小企業にとっても必要であると感じています。なぜなら、競争の激しい中小企業だからこそ独自性のない世界観は他の企業に埋もれてしまい、せっかくのチャンスで相手の印象にも残らない可能性があります。
また、優れたデザインにより個性を演出すると、他の企業とも差別化を図る事ができるだけではなく、良い印象を持ってもらう事ができれば、後に見た時にでも思い出してもらえるかもしれません。
このように自社の思いを視覚化し、世界観を目に見えるカタチにしてこそ、ブランドとして人の心のなかでもしっかりと動きはじめることができるのです。